2025年3月31日月曜日

"active antenna preamplifiers" ham radio May 1986

あい変わらず、アクティブアンテナで遊んで(遊ばれて?)います。

切っ掛けは、年末に見つけたham radio誌のアーカイブです。

面白そうな記事を拾い読みしていたら、この記事に行き当たりました。

1986年5月号に掲載された、 R.W.Burhans氏の"active antenna preamplifiers"という記事です。

年末に作った2SK2394のミニホイップとよく似た回路が載っていました。

こちらの方が、同軸ケーブルからDCを取り出す際のチョークコイル(アンプ側のバイアスT)をトリファイラ巻トランスで兼用しているので、極シンプルです。

コイルとコンデンサが減る、損失も減る、間違える可能性も減ると云うわけで、一石三鳥ですね!

説明を読むと、分からないところがありました。

48ページ"inductive feedback and input capacitance"の

"A circuit that can reduce the input capacitance and improve the linearity for MOSFETs involves a noiseless feedback method"と"with the FET input capacitance reduced to pratical levels comparable to ..."

というくだりです。

インダクタンスと静電容量が互いに打ち消し合うのでしょうか?

それとも、NFB 電流あるいは電圧によって、静電容量が物理的に減少するのでしょうか?

しばらく悶々としましたが、電気も物理も基礎を知らないので、答えにたどり着けません。

前後しますが、あるメーリングリストで教えを乞うたところ、

OK1VAW Vojtech OMから、

『簡単に説明してみます。はい、インダクタンスとキャパシタンスは互いに打ち消し合っています。これが共振回路の仕組みです。昔、真空管に多くの内部キャパシタンスとフィードバックがあったとき、中和が使用され、これもこの原理に基づいていました。アクティブ回路でこれがどのように機能するかは少し複雑で、回路をシミュレートして何が起こるかを確認する必要があります。負帰還はゲインを低下させますが、入力インピーダンスも改善できます。』

とのご教示を頂きました。

"中和(neutralisation )"の単語で、ストンと合点が行きました。

他のメンバーからも、いろいろアドバイスなどを頂きました。

当時のデバイスを前提にした工夫で、原理や考え方は今も正しいが、

S/Nもリニアリティーも優れた現代のデバイスを活用する方が合理的。

と云うことのようです。

とは言え、いくつかN-M0S FETがあったので、ダメ元で試して見ました。

先ずは、VN2222

転ばぬ先の杖で、シミュレーションしてみました。

良い感じですね!

テスターで確認

回路は記事のままで作りました。(3.3Megは10Megの3パラ)

バイアス電圧が高すぎたようで、かなり熱くなりました。


S/Nも感度も思ったより良かったのですが、残念ながら翌日に昇天してしまいました。

2N7002は、

すこしノイズが多いものの、感度はVN2222以上に良かったのですが、これも数日後に昇天してしまいました。

作り方が悪いのか、SMDは放熱が難しいですね。

また、丈夫さが売り物のMOS FETでも、固定抵抗で決め打ちした、あてずっぽうのバイアス電圧では無理なようです。

ここで、思い出したのがソビエト製の、KP901BというFETです。

ハムジャーナルなどで紹介されていた、VMPシリーズと同じように使えるとの事で、大昔にeBayで買っていました。


やはりCgが大きいですね

5円玉で放熱できるので安心感はあります。

性能はVN2222と同じような傾向ですが、IMDはかなり良い感じでした。

ローノイズの2SK2394と比べるのは、少し酷かもしれません。

あちこち引っ掻き回していたら、2SK170が出てきました。

オーディオ用のデバイスは、Cin故に高周波では使えないと思い込んでいました。

が、NFBやLPF(ゲートに入れたコイルで構成)で中和できれば、HF帯なら実用になりそうです。

2SK170BL

PCBを削って作り直した2SK170BL ミニホイップ

KP901Bと取り換えたところ、VLFからローバンドは良い感触ですが、ハイバンドは難しいようです。なかな、シミュレーションのようには行きませんね。hi

某オークションで見かけたので、追加を購入しました。

と言うのは、ミニホイップばかりでは面白くない(飽きた?)ので、AD370を目標に、アクティブダイポールを作ってみたかったのです。

先ずはシミュレーションから・・・

(当初のアップでは、シミュレーションの絵を間違えてました。現物はソース抵抗のない、もっとも単純な回路です。)

調整個所が無いため、デバイスの特性がそのまま出てきます。外れを引くと活けないので見ておきましょう。

結構そろってました

ドレイン以外のDC電圧は0V
0
トランスが1つなので、スカスカです。
翌日、シャックのルーターが気絶するほどの雷雨があったので、ガス放電式のアレスタと豆電球を入れました。

(初代2SK2394ミニホイップがその雷でやられたみたいで、感度が激落ちです。orz)

AD370と2SK170x2 アクティブダイポール

現時点で、KiwiSDRに接続していますが、不思議なことに、日中と夜間の感度の変動が少ないようです。

こちらもハイバンドは苦手ですが、11.9kHzのアルファや68.5kHzのBPC時報局は真っ昼間でも良く聞こえています。

URL http://ja7kbr2.proxy.kiwisdr.com:8073

2SK170 x2 Active Dipole 3/31 1410jst

この数日、3MHz辺りに汚い信号(ノイズ?)が出ています。困ったものです。

それでも、不思議なことに日中のSNRはJAでトップという場面を何度か目にしました。

どう云うことでしょうね?

この流れで、2SK2394のアクティブダイポールを作ったのですが、どこかを間違えたようで、IMDが滅茶苦茶です。orz


目標にしているDatong AD370 Active Dipole

URL http://21344.proxy.kiwisdr.com:8073

―・・・―

一つ忘れてました。

2SK2394 x2のミニホイップ、ham radio方式のシミュレーションと実物です。

どこまで近づけるかが課題

NFB用のリンクは、2巻にしたとこ約5uHでした。

このアンテナは、WEB-888につないでいます。

URL http://ja7kbr.proxy.rx-888.com:8073/


という訳で、しばらく振りの生存報告でした。

2025年3月3日月曜日

NWC 19.8kHz 停波?

VLFで昼夜を問わず良く見えていた19.8kHzのNWCが、今月に入ってから見えないのに気が付きました。

今朝の様子です。

2025'03/03 08:00 JST

WIKIPEDIAによると、

『この局はオーストラリア国防省がオーストラリアとアメリカに代わって運営・管理しており、太平洋西部とインド洋東部でアメリカ海軍、オーストラリア海軍、同盟国の艦船や潜水艦に超低周波(VLF)無線送信を行っている。周波数は19.8 kHz。送信出力は1メガワットで、南半球で最も強力な送信局と言われている。』

そうです。

https://en.wikipedia.org/wiki/Naval_Communication_Station_Harold_E._Holt


スクリーンキャプチャなどを辿ると、2月22日にはしっかり見えていましたが

2月22日の朝

3月1日の朝は見えなくなっていました。

3月1日の早朝

アメリカの資金で運用されていたそうなので、マスク氏の(大ナタならぬ)大チェーンソーでぶった切られたのでしょうか?

日単位のスペクトログラムを見ると、VLF帯もなかなかの賑わいですが、北や西の危ない国が妙に元気なようです。

2025年3月1日土曜日

Small Loop Amp - LZ1AQ vs 2SC1815/2SA1015 Diff

あるフォーラムで2SC1815と2SA1015が話題になっていました。

「LZ1AQ possible changes」というスレッドです。

ドイツのあるフォーラムで、業界定番の「LZ1AQ型ループアンプは欠陥だらけ」という指摘がありましたが、どう思いますか・・・。と言うのがスタートでした。

私の第一印象は、世の中には怖いもの知らずの人がいるものだ!でした。Hi

元ネタへのURL↓にアクセスしてみると

https://www.mikrocontroller.net/topic/523344?page=1#6790749

結局のところ、シミュレーション上の話で、作ったことも使ったことも無いようです。

ちょっとガッカリしましたが、他人様のことは笑えません。

ただ、途中で示されている回路で2SC1815と2SA1015が使われているのが、興味を引きました。

出典:<https://www.mikrocontroller.net/attachment/527516/LoopSchaltungen.png>

また、「2SC1815/2SA1015のfTが低すぎる」という指摘に「Icを流せば400/500MHzまで上がる」と返答していたのは、私たちの常識と符合しています。

実際に、2SA1015がHF帯でもローノイズなのは、東京ハイパワー HL-400Jの受信プリアンプで実績があります。

さっそく真似っこのシミュレーションをしてみました。

数式で理解できる人から見れば、私もきっとカーゴ・カルトの一員なんだろうな?と思って、つい苦笑が浮かんでしまいました。Hi

2SC1815/2SA1015差動型ループアンプ

特性は素直で悪くないようです

あれ、C11極性を間違えてますね。

オリジナルのLZ1AQも走らせてみました。

LZ1AQループアンプ (2N2222 x4)

高域がガクッと落ちるのは、入力の0.3uHと100pFによるLPFの所為です。

外して見ると・・・

LPFをパス

2SC1815/2SA1015アンプと似た特性です。

コンデンサや出力トランスの値を増やすとそっくりになります。

先日AD-370を見たこともあって、足のある部品で作ってみたくなりました。が、

いっぱい有ったはずのトランジスタが見つかりません。抵抗も足りません。orz

ついでがあったので、秋葉原に途中下車して仕入れてきました。

トランジスタは、念のため特性をチェックしてみました。

2SC1815は意外に揃っていましたが、2SA1015は幾つか飛び出していました。

見ておいて良かった

例によって、ARCADで配置を検討し


CNCで削ってみました。

差動型アンプ


コンデンサは、2.2uFと1000pFを死ぬまで使いきれないほど持っているので、それで間に合わせます。

LZ1AQ型アンプ


トランジスタはPN2222を買うつもりでしたが、互換のBTN2222A3の方が少し丈夫そうなので使ってみました。

チョークのインダクタンスが小さいのは、ハンダ付けしている内に、出力側トランスのリンクで代替できるのでは?と思いついて、実験もかねて小さくしてみました。

昨日の午後、以前のアンプと交換しました。

スモールループ三兄弟

手前がLZ1AQ、奥が2SC1815/2SA1015、真ん中の2N5109はお休み中。

平井の再開発でしょうか?工事中のタワービルが、靄か花粉でかかすんで見えます。

花粉症にはつらい時期になりました。

肝心の結果というよりは途中経過ですが、

今朝の、1663.5kHz USBの受信動画です。

直線で約50kmの東京マーチスはどちらのアンテナもハッキリ・クッキリで面白くないので、

約290km離れた伊勢湾マーチスにトライしてみました。

送信出力は、10Wだそうです。

2SC1815/2SA1015差動型アンプ

LZ1AQ型アンプ

少しエコーが掛かっているのは、録画時の影響のようです。

なお、下限の周波数は40kHzのJJYがやっとの感じです。

例の68.5kHzのBPCやAlphaはかすりもしませんでした。

13時JST前後の、8MHz JG2XAのドップラーグラム

信号が強いため、違いが良く分かりませんが、LZ1AQのノイズ(赤)は、明らかに低いようです。

これらの受信機、幾つかのチャンネルをKiwiとWeb-888で公開しています。

興味があるようでしたら聞いてみてください。

 Small Loop (LZ1AQ) 

http://ja7kbr.proxy.kiwisdr.com:8073/

 

Small Loop (2SC1815/2SA1015 Diff) http://ja7kbr2.proxy.kiwisdr.com:8073


Active Dipole (AD-370) 

http://21344.proxy.kiwisdr.com:8073


Mini Whip (2SK2394 x2) 

http://ja7kbr.proxy.rx-888.com:8073/

―・・・―

少し補足します。

はじめに差動型を作ったのですが、Kiwi に接続した瞬間、BC帯の強烈な混変調にガッカリしました。

電圧を絞ったりしている内、Kiwiが飽和しているのに気が付きました。

3dBのアッテネータでは足らず、現時点では、差動型・LZ1AQ型の両チームとも、バイアスTとKiwiの間に10dBのアッテネータを入れています。

AD-370チームは、Kiwi2内蔵の可変アッテネータを5dBにセットしています。

過大入力に強い、本式の受信機をつなげば別の景色が見えるかも知れません。