実は、ANAN-800DLEの前に、別の「顔なしさん」をポチっていたのでした。
EK-890入手
ROHDE & SCHWARZ EK-890
外観はかなりキレイ
きちんとしたラックに収まっていたようで、ごみや埃の付着はなく、全体はキレイです。が、サイドの持ち手やパネルのハンドルは、プラスチックの劣化が始まっています。
左上にメモ書き
アース(GND)端子がない!
意外だったのは、無線機というか電気製品一般に付き物の、アース(GND)端子が見当たりません。
19インチラックに収納する図が有るので、それが前提になっているようです。
目次から、GNDの項目を探してもRS232/RS485の信号線の説明(と思う)のみでした。
マニュアルはドイツ語
300ページ超のコピー本ですが、すべてドイツ語でした。まったくのチンプンカンプンです。
グーグル翻訳で行けると思ったのですが、上に点々がついた文字が有ったり、一文字一文字を目で追って入力しないと活けないので、至難の業でした。
メンテナンスと思しき項目が有ったので、四苦八苦して訳したところ、
「この装置はメンテナンスフリーなのでメンテナンスの必要はありません」と読めました。
まるで漫才のネタです。
なお、モジュールの結線図はありますが、回路図はありませんでした。
定価は80~90万円?
当時の価格表
いろいろ探し回っていて偶然見つけた当時の価格表です。
90年代後半、ドイツマルクは70~80円くらいだったので、顔(コントローラー)なしの本機は、ざっと80~90万円というところでしょうか。
SYNTHESIZERエラー
電源を入れるとパネルのLEDが一斉に点灯し、チェック後に消灯します。
つまり、すべて消えているのが正常なのですが、SYNTHESIZERのLEDが何かの拍子に点灯します。
傾けたり揺すったりすると起きるので、どこか接触が悪くなっているようです。
まずは、上下の蓋を開けてみました。
ロックはしっかり止まっていました
底から見ると、リボンの裏のあたりが込み合っていて、ちょっと怪しい感じです。
モジュールを抜き差しするには、一部の同軸類を外さないといけないので、
その前に接触をあたったところ、感触の悪いところが一か所ありました。
で、コネクタを抜き差ししたところ現象は収まりました。ヤレヤレ
100kHz AMが聞こえた!
エラー表示が消えたところで、ヘッドホンをつないでみました。
AM系の復調ノイズかすかに聞こえます。
アンテナコネクタにテスターのリードを当てるとコツコツ音がします。生きているようです。シメシメ
SG(hp 8648A)から400HzのAM信号を入れてみると、SG下限の100kHzで変調音が聞こえました。
-136dBmでもはっきり分かるのには、驚きました。
シリアル通信の規格が分からない!
バックパネルの上に、小さなメモ書きがありました。
シリアルインターフェイス仕様のようです。
直近のものであることを期待して作業を進めました。
コネクタの用意
メモ書きのように、一番簡単なXON/XOFF方式でいくことにします。
幸い、25⇔9のストレート・ケーブルが見つかりました。
変換コネクタを作ろうと思いましたが、9ピンDSUB、手持ちのコネクタは全部メスでした。
女性とは縁のない一生でしたが、初めて持て余ましました。hi
秋葉原に出かけるのも億劫です。それに、行けば行ったで余計な散財をするので、密林で買いました。
RS232C結線図
信号が出てこない?
さっそく配線しましたが、TxD端子の電圧、-4Vに張り付いたままで、パルスひとつ出てきません。RxDはゼロボルトのままです。
CPUモジュールのシールドを開けてみると・・・
目に飛び込んて来たのがバックアップ用と思われる電池と、懐かしいLSIです。
電池はしっかり3.5Vが出ていました。
初めてRTTYにトライしたころ、8251はインターフェースの定番でした。
が、シメシメと思ったのは一瞬のこと、
8251と来ればドライバはMC1488/SN75188とMC1489/SN75189に決まっていたのですが、
1.2Kmまで伝送できるというRS485対応でしょうか、初めて見るAM26LS30とDS96F173と言うICが鎮座しています。
未知のRS485設定?
メモ書きとは違って、未知のRS485設定でしょうか?
BCDスイッチで鑑別できるかと思いましたが、なんだか矢印の形が違います。
特に、一番触られたと思うボーレート設定用のスイッチ。
つぶれてわかりません。
どっちですか?
スイッチの裏に出る電圧を換算すれば読めるかな?と思ってテスターであたりましたが、論理の正負(肝心の頭としっぽの区別)が分かりません。
昔、HF-8060のサムホイールSWで散々苦労したことを思い出しました。
結局、82C51のクロック・ピンに与えられる周波数とスイッチの対応を見ることにしました。
どうやら、スロットの幅が広いほうが頭のようです。
その前提で、RS232Cに合わせてみました。が、やはり信号が出てきません。
さて、困りました。
ハンダごては封印
RS-232C端子から82C51に向かって信号を追っていくと、82C51のRxDには届いていました。
が、TxDの信号はモジュールのソケットには出てきませんでした。
82C51とTTLレベルで直結してみようかとも思ったのですが・・・
モジュール診断エラーは無く、受信機としての機能は生きているようです。
下手にハンダごてを突っ込んで、本当のジャンクにしたくありません。
ANANが動いたので、この調子で!と意気込みましたが、
遣ること成すこと外ればかりで嫌になります。
静かに!と言われているのかも?
最大99台の受信機をクラスターにして運用できるようです。全員がワイワイ言い出したら学級崩壊状態になります。
考えすぎかもしれませんが、本来の用途が用途だけに、ひょっとするとアクノリッジを抑制しているのかもしれません。
手当たり次第に、設定したスイッチの仕様で、コマンドを放り込んでみました。
下手な鉄砲のめくら打ち
マニュアルを眺めて、パラメータを変えながら、思いつくパターンを放り込んでみました。
苦節二か月(大袈裟ですね)、ようやく動き出しました。
周波数を設定するコマンドを放り込むまで、2か月かかりました。\(^o^)/
フィルター切り替え
フィルターは、600Hz、2700Hz、8kHzの3本が入っているようです。
フロントパネルのヘッドホン端子から、500円のUSBドングルでAD変換しています。
マーカー代わりのキャリアは、14.100MHz -136dBmです。
はっきり・くっきり見えて済ます。
中波帯の様子
常時観測中の 1575kHz AFN 3局の様子です。
日の出前後の一番ダイナミックな時間帯です。
中華RSPまがい+フェライトバー(1575kHz同調)
EK-890 + 短縮DP
7MHzのFT8
たった今の、7.074MHzのFT8デコード比較です。
左がHermes Lite 2 + PowerSDR、右がEK-890です。
屋上のトラップダイポールからの信号を2分配しています。
結果は、EK-890の圧勝です。
実は、ANAN-8000DLEとの比較でスタートしたところ、ANANの惨敗。
見ていくと、THETISとの組み合わせに問題(持病)があるようです。
急遽、HL2に代打に立ってもらいました。
正直に言うと、もう過去(1990年代末)の機械と舐めてかかってましたが、思ってもいなかった結果でした。
あるいは、当時の100万円近い最高級受信機と当代の3万円SDRが良い勝負をしていることを寿ぐべきでしょうか?
それにしても「ローデ・シュワルツ、恐るべし!」を実感しました。