2026年1月9日金曜日

トランス巻線のツイスト

 AD370インスパイア系のアクティブダイポール。

 各トランスのインダクタンスが小さいとのアドバイスを頂きました。

 AG5RT Markさんによると、ご自身が所有するAD370のトランスを実測したところ、

 一番後ろの12回巻きバイファイラトランスは800uHだったそうです。

 前段のトリファイラは10回巻きなので、各巻線は556uHと想定されるとの事でした。

 ここまで2つ作りましたが、トリファイラトランスの巻線インダクタンスは100uH前後でした。

 手持ちのBN-73-2402と色付きエナメル線(φ0.3mmくらい)では、4回がギリギリだったのです。

 また、バイファイラトランスはいつものM-521CTで、こちらは約175uHでした。

 たしかに、ちょっと小さいかな?とは思っていましたが、こんなに違うと拙いですね。

 次回は、一回り大きいBN-73-202に巻いてみたいと思います。


 で、インダクタンスを大きくしてシミュレートしてみると、確かに低域は改善するのですが、高いほうが崩れてくるようです。

 しかも、あくまでも理想的な机上の話で、自分で巻いたトランスとおぼつか無い実装技術では、さらに悪化する心配があります。

 とくに心配なのが、線の撚り方(ツイスト数)です。

 たいていの教科書には、きつめにツイストするようにと書かれています。

 しかし、1インチ当たり3回で緩くツイストすると書かれたテキストを見て、アレッと思った記憶があるのです。何だったか思い出せないし、読み間違いだったかも知れません。

 また、常用しているM-521CTの巻線はツイストが無く、きれいに並行して巻かれています。

 この辺りにも、きっと何かが隠れているような気がします。

良い機会なので、試して見ました。


 用意したのは、オヤイデで買った0.4mmφのウレタン線とBN-73-202です。

 約20Cmを切り出し、きつめにねじったツイスト線と、緩くねじったほぼ平行線を用意しました。

BN-73-202に5回巻きました。

LCメーターは、OSA103 Miniです。

正確で周波数特性もざっくり確認できるので重宝しています。

緩くねじった線

巻線インダクタンス

340 uH

漏れインダクタンス(反対側の巻線を短絡)

Leakage Inductance


168 nH

この二つの値から、

k=(340-0.168)/340=0.999505

と目星をつけられます。

巻線間キャパシタンス


14.8pF

ツイスト線

巻線インダクタンス

340 uH

400Hzでは緩くねじったのと同じですが、上下の周波数(特にRs)では違います。この辺りが見えるのがOSA103 miniの良い所です。

漏れインダクタンス

157 nH

k=(340-0.157)/340=0.999538

少し改善しました。

巻線間キャパシタンス

18.4pF

 やはり増えました。

 実は、パッと見たとき「何で同じなんだ!?」戸惑いました。が、良く見ると8と4が入れ換わっていました。hi


 この値でシミュレーションしてみました。


30MHz~200MHzを拡大

 きつく捩ることで

巻き線間の容量が増える → 共振点が下がる

 と予想したのですが、あまり変わらないようです。

 漏れインダクタンスの減少が、線間容量の増加を打ち消してくれるみたいです。

 さて、現物ではどうでしょうか?

ツイスト巻き

コモンモードチョークとして使った時の通過特性です。

S21 Gain:

595kHz -0.060dB

 32MHz -0.766dB


絶縁トランスととしての通過特性

S21 Gain:

595kHz -0.089dB

 32MHz -0.813dB


粗平行線

コモンモードチョーク時の通過特性


S21 Gain:

595kHz -0.047dB

 32MHz -1.627dB


絶縁トランスととしての通過特性

S21 Gain:

595kHz -0.094dB

 32MHz -0.556dB

かなりひどいですね。

シミュレーションとは全然違います。

メガネ型(Binoculars)コアなので、ドーナッツ型のコアのようにスペースを空けて巻けないせいでしょうか?

注意したつもりですが、穴を通すときに前の巻線を通っているかも知れません。

結果的に、巻くというよりは束ねたような印象ではありました。

典型的な失敗作ですね。orz


念のため、ツイスト無しで極小のドーナッツにきれいに巻かれているM521-CTも見ておきましょう、。

M521-CT

コモンモードチョーク時の通過特性

S21 Gain:

595kHz -0.312dB

 32MHz -0.308dB


絶縁トランスととしての通過特性

S21 Gain:

595kHz -0.284dB

 32MHz -0.228dB

 カーブは綺麗で高域は良いのですが、1MHz以下はBN-73に負けるようです。

 トランスを巻いてみる価値はあるようです。

最後に、ツイスト巻きのk値を現物に合うように動かして見ました。

 「k=0.99968」とした時に、シミュレーションと実物の共振点が一致するようです。

 BN-73-202にツイスト線を巻いた場合は、この値を使うことにします。

2026年1月2日金曜日

Active Dipole inspired by Datong-2

アクティブダイポールの続きです。

IMDを観るための入力が小さすぎるとのアドバイスを頂きました。

0dBmが目安との事で、50Ω負荷の場合0.2236Vとなります。

換算はこちらのツールが便利でした。

ユーティリティ : V RMS / dBm / dBu / dBV 計算ツール

https://www.analog.com/jp/resources/interactive-design-tools/dbconvert.html


それでも腑に落ちないのが、入力時点(L20のホット)にIMDが現れる事です。

まさか、V1,V3で歪んでいるはずはないので、D1~D4をカットしてみると、きれいに消えました。

どうやらダイオードで発生したIMDがトランスを通って入力側に現れて(逆流して)いたようです。

受信機のフロントエンドで発生したスプリアスがアンテナから放射されるという話を聞いたことがありますが、こういう仕組かも知れませんね。

そこで、ダイオードにバイアスが掛かっている(と思われる)AD370の入力をチェックしてみると。

見事に消えています。

年末に違いが分からないと書いたのですが、大間違いでした。

非常に大きな効果が期待できます。

今上がっているバージョンを、改めて入力信号を0.224Vにしてシミュレートしてみると

ダイオードの有り無しで、大きな違いがありました。

前線の通過時など、けっこう帯電することもあるので、ダイオードを外すのは冒険です。

流石に、0.224Vの大入力は無いと思うので、このまま様子を見ることにします。


また、結局AD370のデッドコピーになりますが、ダイオードにバイアスを掛けて仕切り直したいと思います。

せっかくなので、手持ちのデバイスで餅の絵を描いて見たところ・・・

足のあるデバイスでは、J113+2N5109が良さそうです。

SMD版では、CPH3910+2SC4703が良さそうです。


また、FETをインピーダンスの低いゲート接地型に上手く変換できると、ループアンテナ用のアンプに使えるかも知れません。

初夢(妄想?)は膨らみます。