2026年1月28日水曜日

Active Dipole inspired by Datong - 4

 アクティブダイポールの四作目です。

トランスのインダクタンスを大きくしたところ、ハイバンドが良くありませんでした。

巻線間のキャパシタンスが影響しているような感じです。

ずいぶん昔に買ったラッピングワイヤが出てきたので、試して見ることにしました。

エナメル線よりも被覆が厚い分、容量が減るのでは?という期待です。

併せて、FETとトランジスタもなるべく揃えたいと思います。

20年物?

2SC4703

抜き出した最初の二つがドンピシャでした。


一瞬、同じものを測ったのかと思いました。


CPH3910

こんな感じのバラつきがありました。



Vgの近い物を使いました。


トランス

バイファイラ5回巻きで特性を見てみました。

5回巻き

インダクタンス  198uH

漏れインダクタンス 207nH

巻線間容量 9.36pF

容量は減りましたが、結合(k)も少し減るようです。


エナメル線のトリファイラ(右の下)とは、明らかに違います。

組立

エナメル線は被覆を剥がすのが手間ですが、ラッピングワイヤは楽ですね!

コネクタ取り付け前に、一通り当たったところ、電源ラインがGNDに落ちていました。

小一時間ほど苦しみましたが、犯人は削り残しでした。

1mmφのエンドミルを使う前提でしたが、交換が面倒で0.6mmのまま削ったのが敗因でした。orz




ハンダ面と電圧

 FETソース側のチョーク。前回使った470uHは周波数特性が悪かったので、16MHz辺りまで伸びている100uHのSMD巻線チョークと1kΩ(@100MHz)のフェライトビーズにしてみました。
 トランジスタのベース側は、AD370では470uHのチョークなのですが、代わりに1kΩのフェライトビーズを入れました。ここは、シミュレーションでは有無の違いが良く分かりませんでした。周波数特性の改善というよりは、抵抗で発生するノイズの抑制目的なのかな?

特性はこんな感じです。


S21はほぼシミュレーションどおりですが、8MHz辺りの位相の乱れは想定外でした。アンプの前に入れたトランスのせいでしょうか?
宿題です。


雨カバー
 安直に、ペットボトルの中に押し込みました。


前回作と入れ換えました。一番上。

WSPR解読数
   #4のアンテナを間違えていました。
 正しくは、2作目のアクティブダイポール(J310+2SC3357)一番下の緑のキャップでした。

 例によって、3日間のWSPR解読数を比べて見ました。

 相性問題を避けたいと思って、SDR受信機との組み合わせを少しシャッフルしています。

 駄目評価の社員が転勤先で大化けするという、サラリーマンあるあるのアンテナ版です。hi

 2,5が同じサイズのループです。今回はLZ1AQ型がトップでした。入力のFM放送トラップがHFハイバンドに寄与しているとの事ですが、その効果かも知れません。

 3が今回のアクティブダイポールです。狙い通りハイバンドは良くなりました。VLF/MFも善戦しています。
1-AD370の475kHzが謎ですが、全体的に上回ったようです。

 非常に印象的だったのは、数日前の早朝5時ころのプロットです。
 環七に近いせいでしょうか、深夜から早朝にかけて27MHzに柱が立ちます。同じスパンのウォーターフォールですが、今回のアクティブダイポール(左)では、クッキリ見えていました。

2026年1月23日金曜日

失せ物発見―NanoVNAのSDカード

数日前にNanoVNAのマイクロSDカードを失くしました。

幸いスクリーンキャプチャ位しか入っていないので、「しかだねな」と諦めて、別のカードを挿していました。

で、昨日の夕方、作りかけの受信アンプの特性を見ようと思って引っ張り出しました。

気のせいか、微かに音がします。

部品が外れたのかも知れません。

「また外れかよ!」とガッカリしました。

(前のNanoVNAは2MHz辺りに問題があり、秋に買い直していました。)

ただ、少し軽めの音で、ハンダやネジのような感じではありません。

「さては?」と開腹してみると・・・

ビンゴ!

それにしても、一体どうやったら中に落ちるのでしょうね?

たしかに、コネクタとケースの穴に、かなりの隙間があります。

知恵の輪のつもりでトライすれば、落とせるかもしれません。

偶然とは恐ろしいものです。

念のため、マスキングテープで蓋をしておきました。

回収した1枚です。

アクティブダイポール 3号機の特性

シミュレーションには無いディップがありました。

トランスの巻線間の容量が原因かもしれません。

―・・・―

初詣でお神籤を引いていたら、『失せ物:出ます』だったかも?

その前に失くしていたので、『失せ物:注意』かな?

いずれにしても、気を付けましょう。

2026年1月16日金曜日

秋月電子通商のフェライトビーズをシミュレートしてみた

 フェライトビーズは便利な部品です。

 でも、仕組みが良く分からないので、添付されている参考資料やホームページの数値やグラフを見て、効きそうなもの(もっと言えば、値の大きいもの)をヤッツケで入れてきました。

 しかし、適切な値があるからこそ色々な値や材質のものが売られている訳で、あちこち間違った使い方をしているかも知れません。以前から気になっていました。

 で、フェライトビーズの規格などを眺めていたら、各社からSPICEモデルが公開されていることに気が付きました。

 例えば、25個入りが100円で販売されている、ムラタのBLM18PG00SN1D (60Ω)を検索すると

SPICEモデル

 『フェライトビーズ EMI除去フィルタであるフェライトビーズのSPICEモデルをご提供しております。』とのこと。


株式会社村田製作所のホームページ

 がヒットしました。

 BLM18DシリーズのZIPファイルをダウンロードして解凍すると、ぞろぞろ出てきました。

さぁ大変です

 一体どうやって使うのでしょうか?

 ANALOG DEVICESの解説を読んでもチンプンカンプンです。

 LTspiceの活用法 - サードパーティ製のモデルをインポートする

https://www.analog.com/jp/resources/technical-articles/ltspice-how-to-import-third-party-models.html

 ライブラリとして登録するのが定石のようですが、実はLTSPICEのインストールを間違えたようで、複数のライブラリを作ってしまい、スパゲッティ状態なのです。

 それに、LTSPICEの回路図を共有してアドバイスをお願いするのに、多分ご本人は使うこともないであろうデバイスの登録までお願いするのは気が引けます。

 で、なんとなくBLM18BB600SN1.MODをテキストエディタで開いて見たら・・・

 実体は.SUBCKT形式のモデルでした

 これならば、解説の「.SUBCKTモデルの使い方 - 既存のシンボルを再利用する」の手法が使えそうです。

.SUBCKT XXXX ~ .ENDS XXXX

を回路図に張り付けておけば、ライブラリをいじらなくてもメールに添付した回路図だけで、単品のデバイスモデルが共有できそうです。

 さっそく試して見ました。

1. 信号源と終端抵抗を貼り付けます

2. デフォルトの部品リストから"FerriteBead"を選択し、挿入します。

3. Edit → SPICE directive で.SUBCKT定義部を回路図に貼り付けました

4. L1のフェライトビーズをポイントして、[Ctrl]+右ボタン 

で、Attribute Editor を開き

5. Prefix を"X"に書き換え

6. Valueにパーツ名の"BLM18BB600SN1"を入力し、

7. OKをクリックします。

ここで保存してから、AC Analysisを実行しました。

無事にシミュレーションできました\(^o^)/

 「こんな面倒なことをしなくても、最初から用意されているフェライトビーズで良いのでは?」と囁くもう一人の自分がいたので、比べて見ました。

 新しいビーズを置いて → ポイントし → 右ボタンを押して → リストの中から、61.6ΩのWE-CBF 0402を選択しました。

 実行すると・・・・

かなり差があります
 上限を300MHzにしていましたが、もっと高い周波数で違いが出そうです。

 上限を1GHzにして、再度実行すると・・・

ずいぶん違うものですね!

 半日ほど悩みましたが、価値は充分にありました。

 秋月電子通商で販売しているフェライトビーズのモデルは各社から公開されていました。

 正しい方法かどうかは分かりませんが、いずれも上記の方法でシミュレーションが可能でした。

 なお、各社の使用許諾や著作権、制限事項等にはご注意ください。


例:ムラタ 一覧から選択

https://www.murata.com/ja-jp/tool/data/spicedata/netlist-ferritebead


例:太陽誘電 品番で検索 BK2125HM121-T

[lib]形式がテキスト形式ファイルで、SUBCKT形式のモデル

https://ds.yuden.co.jp/TYCOMPAS/jp/detail?pn=BK2125HM121-T++&u=M


例:TDK 品番で検索 MPZ1608S601

https://product.tdk.com/ja/search/emc/emc/beads/info?part_no=MPZ1608S601ATA00

右下の[技術支援ツール]、[SPICEネットリスト(簡易モデル)]がSUBCKTの静的なモデル。詳細モデルを使うと直流重畳時や熱的なシミュレーションもできるようです。


 忘れてしまいそうなので、将来(来週?来年?)の自分のために書いておきます。hi


2026年1月15日木曜日

Active Dipole inspired by Datong - 3

アクティブダイポールの三作目です。

アドバイスを受けて、トランスのインダクタンスを大きくしてみました。


トランス

BN-73-202のトリファイラ6回巻きです。

同じ回数なのに、ずいぶん値が違っています。

484uHを初段に、529uHと514uHを後段に使いました。

 なお、下の汚い板は珪藻土で出来たコースターです。耐熱性もあり、鏝の熱も逃げないので気に入っています。打ちっぱなしのコンクリートと、ゴシゴシ擦り合わせる少しキレイになります。


部品面

 

470uHのマイクロインダクターは、後で測ったところ、10MHzではRs=37.5Ω、C=6.989pFのコンデンサに変身することが分かりました。orz


ハンダ面と電圧

 2SC4703のエミッター電圧が問題です。

 シミュレーションでは+1.66Vです。上は+1.63Vで予定通りですが、下の+2.14Vは高すぎます。

 発振を疑ってスペアナ(TinySA)で当たりましたが、信号は見つかりませんでした。

 左右のバランスは明らかに悪く、216kHzや1728kHzの混変調が気になります。


nanoVNAのプロット

 バイアスTの後ろに20dBのアッテネータが入っています。

 実は、SDカードにキャプチャーを撮ったのですが、カードが抜け落ちて(飛び出して?)紛失してしまいました。ガッカリです。

 泥縄ですが、SDカードのスロットにマスキングテープを貼り付けました。


NSVJ3910

 ちなみに、初段のFETはCPH3910を予定していたのですが、自動車グレード?のNSVJ3910を使いました。

 不思議なのですが、年末にオーダーした際、こちらが少しだけ安かったのです。

 実物のマーキングはCPH3910と同じでした。


下側に取り付けますが、極性を合わせるため足を上面に向けて折り返して、裏返してハンダ付けしました。

(2SK2394で懲りたので)


現在の受信アンテナ

 シャック脇陸屋根のループ三兄弟と、釣り竿に括りつけたアクティブダイポール一家です。


アクティブダイポールは、上からCPH3910+2SC4703組、AD370、J310+2SC3357組です。

エージングも進んできたところで、3日間のWSPR解読数を比較してみました。

#1: AD370

  21MHzはトップですが、475kHzが良くありません。スプリアスでも有って邪魔しているのかと思いましたが、実際に見えていませんでした。両エレメントを短絡している1kΩを少し大きくしようかと考えています。


#2: AG5RT (HN1B01F)

 昨年末に比べて見劣りするのは、中波帯阻止フィルターを止めて、10dBのアッテネータを入れたのが要因と思われます。中波帯のゲインが大きすぎるようなので、NFB回路のインダクタンスを調整して、高いほうに均すと良いかも知れません。


#3: AD(J310+2SC3357)

 三組のアクティブダイポールの中では、一番混変調が少ないです。エレメントをもう少し長くしても良いかもしれません。


#4: AD(CPH3910+2SC4703)

 今回のアンプです。トランスのインダクタンスを大きくした効果か、11.9kHz ロシアAlpha信号は一番よく聞こえるようになりました。半面、やはり高いほうが見劣りします。使用したマイクロインダクターにも問題がありました。電圧異常も気になるので、作り直しですね。


#5: AG5RT style (CPH3910 x2)

 なんやかんやで、一番多く解読していました。中波帯の放送も良く聞こえます。


 なかなか上手く行かないですね。でも、AD370の背中は見えてきた感じです。

 もう少し頑張ってみます。

2026年1月9日金曜日

トランス巻線のツイスト

 AD370インスパイア系のアクティブダイポール。

 各トランスのインダクタンスが小さいとのアドバイスを頂きました。

 AG5RT Markさんによると、ご自身が所有するAD370のトランスを実測したところ、

 一番後ろの12回巻きバイファイラトランスは800uHだったそうです。

 前段のトリファイラは10回巻きなので、各巻線は556uHと想定されるとの事でした。

 ここまで2つ作りましたが、トリファイラトランスの巻線インダクタンスは100uH前後でした。

 手持ちのBN-73-2402と色付きエナメル線(φ0.3mmくらい)では、4回がギリギリだったのです。

 また、バイファイラトランスはいつものM-521CTで、こちらは約175uHでした。

 たしかに、ちょっと小さいかな?とは思っていましたが、こんなに違うと拙いですね。

 次回は、一回り大きいBN-73-202に巻いてみたいと思います。


 で、インダクタンスを大きくしてシミュレートしてみると、確かに低域は改善するのですが、高いほうが崩れてくるようです。

 しかも、あくまでも理想的な机上の話で、自分で巻いたトランスとおぼつか無い実装技術では、さらに悪化する心配があります。

 とくに心配なのが、線の撚り方(ツイスト数)です。

 たいていの教科書には、きつめにツイストするようにと書かれています。

 しかし、1インチ当たり3回で緩くツイストすると書かれたテキストを見て、アレッと思った記憶があるのです。何だったか思い出せないし、読み間違いだったかも知れません。

 また、常用しているM-521CTの巻線はツイストが無く、きれいに並行して巻かれています。

 この辺りにも、きっと何かが隠れているような気がします。

良い機会なので、試して見ました。


 用意したのは、オヤイデで買った0.4mmφのウレタン線とBN-73-202です。

 約20Cmを切り出し、きつめにねじったツイスト線と、緩くねじったほぼ平行線を用意しました。

BN-73-202に5回巻きました。

LCメーターは、OSA103 Miniです。

正確で周波数特性もざっくり確認できるので重宝しています。

緩くねじった線

巻線インダクタンス

340 uH

漏れインダクタンス(反対側の巻線を短絡)

Leakage Inductance


168 nH

この二つの値から、

k=(340-0.168)/340=0.999505

と目星をつけられます。

巻線間キャパシタンス


14.8pF

ツイスト線

巻線インダクタンス

340 uH

400Hzでは緩くねじったのと同じですが、上下の周波数(特にRs)では違います。この辺りが見えるのがOSA103 miniの良い所です。

漏れインダクタンス

157 nH

k=(340-0.157)/340=0.999538

少し改善しました。

巻線間キャパシタンス

18.4pF

 やはり増えました。

 実は、パッと見たとき「何で同じなんだ!?」戸惑いました。が、良く見ると8と4が入れ換わっていました。hi


 この値でシミュレーションしてみました。


30MHz~200MHzを拡大

 きつく捩ることで

巻き線間の容量が増える → 共振点が下がる

 と予想したのですが、あまり変わらないようです。

 漏れインダクタンスの減少が、線間容量の増加を打ち消してくれるみたいです。

 さて、現物ではどうでしょうか?

ツイスト巻き

コモンモードチョークとして使った時の通過特性です。

S21 Gain:

595kHz -0.060dB

 32MHz -0.766dB


絶縁トランスととしての通過特性

S21 Gain:

595kHz -0.089dB

 32MHz -0.813dB


粗平行線

コモンモードチョーク時の通過特性


S21 Gain:

595kHz -0.047dB

 32MHz -1.627dB


絶縁トランスととしての通過特性

S21 Gain:

595kHz -0.094dB

 32MHz -0.556dB

かなりひどいですね。

シミュレーションとは全然違います。

メガネ型(Binoculars)コアなので、ドーナッツ型のコアのようにスペースを空けて巻けないせいでしょうか?

注意したつもりですが、穴を通すときに前の巻線を通っているかも知れません。

結果的に、巻くというよりは束ねたような印象ではありました。

典型的な失敗作ですね。orz


念のため、ツイスト無しで極小のドーナッツにきれいに巻かれているM521-CTも見ておきましょう、。

M521-CT

コモンモードチョーク時の通過特性

S21 Gain:

595kHz -0.312dB

 32MHz -0.308dB


絶縁トランスととしての通過特性

S21 Gain:

595kHz -0.284dB

 32MHz -0.228dB

 カーブは綺麗で高域は良いのですが、1MHz以下はBN-73に負けるようです。

 トランスを巻いてみる価値はあるようです。

最後に、ツイスト巻きのk値を現物に合うように動かして見ました。

 「k=0.99968」とした時に、シミュレーションと実物の共振点が一致するようです。

 BN-73-202にツイスト線を巻いた場合は、この値を使うことにします。