2022年4月23日土曜日

R&S EK-890 - ローデ・シュワルツ、恐るべし!

 実は、ANAN-800DLEの前に、別の「顔なしさん」をポチっていたのでした。


EK-890入手

ROHDE & SCHWARZ EK-890


外観はかなりキレイ
きちんとしたラックに収まっていたようで、ごみや埃の付着はなく、全体はキレイです。が、サイドの持ち手やパネルのハンドルは、プラスチックの劣化が始まっています。

左上にメモ書き

アース(GND)端子がない!

意外だったのは、無線機というか電気製品一般に付き物の、アース(GND)端子が見当たりません。

19インチラックに収納する図が有るので、それが前提になっているようです。

目次から、GNDの項目を探してもRS232/RS485の信号線の説明(と思う)のみでした。


マニュアルはドイツ語
300ページ超のコピー本ですが、すべてドイツ語でした。まったくのチンプンカンプンです。

グーグル翻訳で行けると思ったのですが、上に点々がついた文字が有ったり、一文字一文字を目で追って入力しないと活けないので、至難の業でした。

メンテナンスと思しき項目が有ったので、四苦八苦して訳したところ、

「この装置はメンテナンスフリーなのでメンテナンスの必要はありません」と読めました。

まるで漫才のネタです。

なお、モジュールの結線図はありますが、回路図はありませんでした。


定価は80~90万円?

当時の価格表

いろいろ探し回っていて偶然見つけた当時の価格表です。

90年代後半、ドイツマルクは70~80円くらいだったので、顔(コントローラー)なしの本機は、ざっと80~90万円というところでしょうか。


SYNTHESIZERエラー

電源を入れるとパネルのLEDが一斉に点灯し、チェック後に消灯します。

つまり、すべて消えているのが正常なのですが、SYNTHESIZERのLEDが何かの拍子に点灯します。

傾けたり揺すったりすると起きるので、どこか接触が悪くなっているようです。

まずは、上下の蓋を開けてみました。

ロックはしっかり止まっていました

底から見ると、リボンの裏のあたりが込み合っていて、ちょっと怪しい感じです。

モジュールを抜き差しするには、一部の同軸類を外さないといけないので、

その前に接触をあたったところ、感触の悪いところが一か所ありました。

で、コネクタを抜き差ししたところ現象は収まりました。ヤレヤレ


100kHz AMが聞こえた!

エラー表示が消えたところで、ヘッドホンをつないでみました。

AM系の復調ノイズかすかに聞こえます。

アンテナコネクタにテスターのリードを当てるとコツコツ音がします。生きているようです。シメシメ

SG(hp 8648A)から400HzのAM信号を入れてみると、SG下限の100kHzで変調音が聞こえました。

-136dBmでもはっきり分かるのには、驚きました。


シリアル通信の規格が分からない!

バックパネルの上に、小さなメモ書きがありました。

シリアルインターフェイス仕様のようです。

直近のものであることを期待して作業を進めました。


コネクタの用意

メモ書きのように、一番簡単なXON/XOFF方式でいくことにします。

幸い、25⇔9のストレート・ケーブルが見つかりました。

変換コネクタを作ろうと思いましたが、9ピンDSUB、手持ちのコネクタは全部メスでした。

女性とは縁のない一生でしたが、初めて持て余ましました。hi

秋葉原に出かけるのも億劫です。それに、行けば行ったで余計な散財をするので、密林で買いました。

RS232C結線図

信号が出てこない?

さっそく配線しましたが、TxD端子の電圧、-4Vに張り付いたままで、パルスひとつ出てきません。RxDはゼロボルトのままです。

CPUモジュールのシールドを開けてみると・・・

目に飛び込んて来たのがバックアップ用と思われる電池と、懐かしいLSIです。

電池はしっかり3.5Vが出ていました。

初めてRTTYにトライしたころ、8251はインターフェースの定番でした。

が、シメシメと思ったのは一瞬のこと、

8251と来ればドライバはMC1488/SN75188とMC1489/SN75189に決まっていたのですが、

1.2Kmまで伝送できるというRS485対応でしょうか、初めて見るAM26LS30とDS96F173と言うICが鎮座しています。


未知のRS485設定?

メモ書きとは違って、未知のRS485設定でしょうか?

BCDスイッチで鑑別できるかと思いましたが、なんだか矢印の形が違います。


特に、一番触られたと思うボーレート設定用のスイッチ。
つぶれてわかりません。
どっちですか?

スイッチの裏に出る電圧を換算すれば読めるかな?と思ってテスターであたりましたが、論理の正負(肝心の頭としっぽの区別)が分かりません。

昔、HF-8060のサムホイールSWで散々苦労したことを思い出しました。

結局、82C51のクロック・ピンに与えられる周波数とスイッチの対応を見ることにしました。

どうやら、スロットの幅が広いほうが頭のようです。

その前提で、RS232Cに合わせてみました。が、やはり信号が出てきません。

さて、困りました。


ハンダごては封印

RS-232C端子から82C51に向かって信号を追っていくと、82C51のRxDには届いていました。

が、TxDの信号はモジュールのソケットには出てきませんでした。

82C51とTTLレベルで直結してみようかとも思ったのですが・・・

モジュール診断エラーは無く、受信機としての機能は生きているようです。

下手にハンダごてを突っ込んで、本当のジャンクにしたくありません。

ANANが動いたので、この調子で!と意気込みましたが、

遣ること成すこと外ればかりで嫌になります。


静かに!と言われているのかも?

最大99台の受信機をクラスターにして運用できるようです。全員がワイワイ言い出したら学級崩壊状態になります。

考えすぎかもしれませんが、本来の用途が用途だけに、ひょっとするとアクノリッジを抑制しているのかもしれません。

手当たり次第に、設定したスイッチの仕様で、コマンドを放り込んでみました。


下手な鉄砲のめくら打ち

マニュアルを眺めて、パラメータを変えながら、思いつくパターンを放り込んでみました。

苦節二か月(大袈裟ですね)、ようやく動き出しました。

周波数を設定するコマンドを放り込むまで、2か月かかりました。\(^o^)/


フィルター切り替え

フィルターは、600Hz、2700Hz、8kHzの3本が入っているようです。

フロントパネルのヘッドホン端子から、500円のUSBドングルでAD変換しています。

マーカー代わりのキャリアは、14.100MHz -136dBmです。

はっきり・くっきり見えて済ます。




中波帯の様子

常時観測中の 1575kHz AFN 3局の様子です。

日の出前後の一番ダイナミックな時間帯です。

中華RSPまがい+フェライトバー(1575kHz同調)

EK-890 + 短縮DP


7MHzのFT8

たった今の、7.074MHzのFT8デコード比較です。

左がHermes Lite 2 + PowerSDR、右がEK-890です。

屋上のトラップダイポールからの信号を2分配しています。

結果は、EK-890の圧勝です。

実は、ANAN-8000DLEとの比較でスタートしたところ、ANANの惨敗。

見ていくと、THETISとの組み合わせに問題(持病)があるようです。

急遽、HL2に代打に立ってもらいました。

正直に言うと、もう過去(1990年代末)の機械と舐めてかかってましたが、思ってもいなかった結果でした。

あるいは、当時の100万円近い最高級受信機と当代の3万円SDRが良い勝負をしていることを寿ぐべきでしょうか?

それにしても「ローデ・シュワルツ、恐るべし!」を実感しました。



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