2025年4月23日水曜日

Minimal 90deg Hybrid Splitter / Combiner

スモールループ、アクティブダイポール、ミニホイップいろいろ作りましたが、それぞれ長短があって、落としどころが見つかりません。
組み合わせてみたらどうなるんだろう?と思ってWebを眺めていたら、こちらのサイトに行き着きました。

「R&S HE-015 Active Antenna」
 
掲載されている写真を見ると、コンバイナーは「Anzac JH-6-4」のようです。
 
主要部品のJH-6-4もDigiKeyに掲載されていますが、価格が法外です!
 
データシートはこちら
 
JH-6-4 または同等品が何でできているのか?どのように機能するのか?
とあるフォーラムで尋ねてみたところ、たくさんのご教示を頂きました。
まだ理解できていないところが多いのですが、主なところは

・2つの直交水平ダイポールで水平方向の無指向性を実現したい場合は、90°カプラと組み合わせる必要があ。これはターンスタイルダイポールと呼ばれる。

・JH-6-4 は非常に複雑で、高精度値のコンデンサとインダクタを使用しているため非常に高価であり、応答曲線を最適化するために多少の調整も必要になると思われる。

・1:1トランス1個とコンデンサ2個、インダクタ2個を使って、狭帯域90度ハイブリッド合成器を作ることもできる。

・広帯域90度合成器が必要な場合は、センタータップ付きのトランスとインピーダンス整合トランスが必要。例えば100:1の帯域幅が必要な場合は、インダクタとコンデンサをそれぞれ16個ずつ用意する必要がある。

JH-6-4が高価な理由は、ちゃんとあるようです。
すこし狭帯域な回路例もご教示いただいたのですが、なかなか難しそうです。
諦めきれず、「90度ハイブリッド」の市販品を検索してみたところ、Mini-Circuitsの製品が、それなりのお値段ですが、比較的簡単に入手できるようです。
いくつか検索してみましたが、SCPQ-10.5+が一番安かったです。
 
データシートを見て驚きました。
データシートの右下にある回路図は非常にシンプルです。
実際にバイファイラトランス1個と抵抗1個なのでしょうか?
それとも単なるイラストでしょうか?
 改めて尋ねてみたら
・トランス結合やその他の要素が何らかの形で「操作」されて必要な位相シフトが生成されない限り、これが実際の回路ではないと思います... との事
そりゃそうだよな。と思いつつ、少なくとも巻線間の容量はあるはずなので、
コイルが 10uH で、巻線間の静電容量が 4pF (2x2pF) と仮定して、シミュレーションしてみると、約 25MHz あたりでハイブリッド的な動作をするようです。

元の図はMini-Circuitsから拝借

目的は、二つの信号の合成ですが、シミュレーションのやり方が分かりません。orz
スプリッター兼コンバイナーとして動作するようなので、対向させて(分割+合成)入出力を比較すれば、当たらずも遠からずの特性を観察できそうです。
100pF のコンデンサを追加すると、3.5MHzを中心にスプリッター/コンバイナーとして動作しそうです。


簡単な回路なので、作ってみたいと思います。

この時点では、二つのコイルは共振回路ではなく、トランスだと思い込んでいたので、例のコモンモードチョークを投入するつもりでした。

ARCADの実体図と削った基板
手抜きで、装着してあった1mmφのエンドミルで削りました。SMDの抵抗とコンデンサがギリギリのセーフでした。hi

さて、ぼんやりLTSPICEの回路を眺めていて、どこかで見たことがあるような気がしてきました。
そうです。「トロイダルコア活用百科」でした!
366ページ(私が持っているのは旧い版)から、クワッドレチャ・ハイブリッド (quadrature hybrid)として、数ページに亘って解説されていました。
ぼかしてます
コモンモードチョークのままだったら、大失敗まっしぐらでした。ヤレヤレ

コイルは、各1.6uH。T37-2に 0.4mmのホルマル線をバイファイラ巻きで目一杯の約20ターン。
コンデンサは、切りの良いところで100pFとして、シミュレーション再開です。

正常な結線
青線が、出力側のSumポート。赤線が出力側のダミーロードポートです。
共振があるので本質的に狭帯域ですが、7MHzから14MHzは使えそうな気がします。と言うか、実際には違いが分からないかも?

反対の結線
出力側の基板を引っくり返したときのシミュレーションです。
このディップの深さで、実物のQ(仕上がり具合)が判断できそうな気がします。

現物はこんな感じです。

NanoVNAで測ってみました。
通常接続
反対の位相で対向
思ったよりブロードでした(目盛の設定ミス?)

反対接続
           同じ位相で対向
一番深いディップは-23dBでした。
予想よりも落ちたので、まあまあかな?

具体的な使い道は、これから考えます。hi

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